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第75話 木箱の謎ともう一つの魔法学園

Author: 黒蓬
last update Huling Na-update: 2025-05-05 06:00:45

俺は、さっそくマジックバックから取り出してからシディルさんに聞いてみた。

「この木箱開け方が分からないんですが、シディルさんだったら何か分かりませんか?」

「ふむ?・・・なるほど、確かに開ける機構が見当たらんの」

シディルさんはしばらくの間、裏返したり、光を当てたり、魔法で何やらしたりしていたが、それでも開くことはなかった。

「これはどこで手に入れたんじゃ?」

「えっと、この街に来ていた商人から物々交換で。その人も遺跡から見つかったらしいということくらいで詳しくは知らない様でした」

「なるほどの。少し預かっても構わんかの?地下室で調べれば何か分かるかもしれん」

「はい。構いません」

「では、明日の調査の時に一緒に調べておくとしよう」

この木箱については正直何もわかってないからな。シディルさんが何かヒントでも見つけてくれると良いのだが。

「そういえば、お主らわしの依頼が終わったら、次はどこに向かうつもりなのじゃ?」

「あ~特に明確な目的があるわけではないんですが、もう一つの魔法学園があるというパーセルに向かおうかと思っていました。ただ今回のことでダンジョンについても気になったので、途中にあるロンデールのダンジョンも見てみたいかなと思っていますが、その辺はカサネさんと相談ですかね」

「私も魔法学園は気になりますし、ダンジョンで経験を積むのも良いと思いますよ。ダンジョンのことであれば私も教えてあげられますしね」

特に迷う様子もなくカサネさんは同意してくれた。ロシェもそうだけど俺は仲間に恵まれているな。この世界に来た当初は怖くてダンジョンなんて近寄る気にもなれなかったが、二人のためにも俺も少しは強くなりたいと思えるようになった。

まぁあくまで俺は商人だし冒険者になりたいわけじゃない。まずは二人の足を引っ張らずに手助けできるようになるくらいを目標に頑張ろう。

「ふむ。パーセルに向かうのであれば、向こうの学園長であるフィレーナに紹介状を書いてやろう。色々と便宜を図ってくれるじゃろう」

「パーセルの学園長と仲が良いんですか?」

「うむ。昔の学友じゃよ。魔法に対する方向性は違ったが
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    翌日になり、俺はシディルさんの屋敷でダラダラと過ごしていた。 ここ二日シャドウウルスとの戦闘やダンジョンの発見などでバタバタしていたので、のんびりしたい気分だったのである。 ちなみにカサネさんは街へ散策に出かけている。「魔法・・・か」呟きながらライトの魔法を手の平に浮かべてみる。少し前までは自分で使うことすら想像できなかったが、最近ではさほど意識せずとも使えるようになった。 とはいえ、俺が使える攻撃魔法はライトニングだけだ。魔銃を手に入れたことで戦いやすくはなったが、もし雷耐性持ちの敵が居た場合、俺にできるのは魔力の弾丸 でのけん制くらいになってしまうだろう。他の魔法も覚えられると良いんだが・・・我ながら贅沢なことを考えているな。この力だってタミルさんから貰ったようなものなのに。いや、それどころか今俺が持っているものは貰い物ばかりか。 そう考えると急に自分にももっと何かできることがあるじゃないかという気がしてきた。俺は起き上がると地下に降りて研究室らしき部屋の扉を叩いた。 少し待つと扉が開き、中からシディルさんが顔を見せた。「なんじゃお主か。なにかあったかの?」 「突然すみません。シディルさん、魔法に関する書籍とかってありませんか?もちろん一般的なもので構わないんですが」 「ふむ?それなら二階の蔵書室に収めてある。好きに見て貰って構わんよ」 「ありがとうございます」シディルさんに礼を言うと、さっそく二階の蔵書室で俺でも読めそうな本を探した。その日は日が暮れるまで本を読んで過ごした。「アキツグさん?もう夕食の時間ですよ?」気が付くとカサネさんが部屋まで呼びに来ていた。「あ、ごめん。すぐ行くよ」 「魔法に関する書籍を読んでいるって聞きましたけど、何か良いものはありましたか?」 「いや、カサネさんから貰った魔法の基礎知識があるからある程度理解はできたけど、まだまだ勉強不足なのを痛感したよ」 「元々前の世界にはなかったものですから。アキツグさんはまだこの世界に来て日も浅いですし、これから覚えて行けばいいと思いますよ」

    Huling Na-update : 2025-05-06
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    Huling Na-update : 2025-05-07
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第78話 謎の小部屋に響く声

    ロンデールに着くといつも通り『夜の調べ』に宿を取ってから、冒険者ギルドに向かった。 ダンジョンは冒険者ギルドの管轄であり、ダンジョンの管理や素材の買い取りなども冒険者ギルドで扱っていた。ただし、内部で見つかった宝物、武具、道具類は商人ギルドの方へ提携する仕組みになっているようだ。 俺達は上層の討伐系のクエストを受けてダンジョンに向かうことにした。 パーティ募集などもあったが、今回は肩慣らしのつもりなので三人で十分だろう。 それにパーティが必要な中層以降に行くとしても、パーティ選びは慎重に対応しなければならない。俺やカサネさんのスキルのこともそうだし、ロシェを同行させるか、させる場合メンバーに打ち明けるかなど色々問題が出てくるからだ。(考えてみれば皆が秘密を抱えてるってこのパーティもなかなか問題があるな。まぁカサネさんのは才能があったで誤魔化せそうだけど)ダンジョンの入り口まで来ると何人かが並んで列を作っていた。 ロンデールのダンジョンは街近くの丘の上に入り口が作られており、ギルドに寄って入場管理がされていた。これは未帰還者を把握するためのもので、入場時に名前の記入かギルド証を提示するようだ。 俺達もギルド証を提示して中に入ると、入ってすぐのところに大きめの広場があった。広場は円形で等間隔に奥へ進むための道が八か所も暗闇をのぞかせていた。 俺達より前に入ったパーティは既に先に進んでいったらしく一人も残っていない。「最初からこんなに分かれ道が多いとどこから入るか迷っちゃいますね」 「そうだな。慣れてる人は正解の道を知ってるんだろうけど、俺達は今日が初めてだしな」 『風の流れがある道がいくつかあるからどれかが正解だと思うけど、まぁ最初だし運試しも兼ねて好きなところから入ってみれば良いんじゃない?』ロシェは風の流れからヒントを掴んだようだが特に教える気はなさそうだった。 確かに、別に急ぐ理由もないしな。カサネさんもどこでも良さそうだったので、適当に選んだ道から奥に進んでみる。 その後も数回、分かれ道や行き止まりに当たりながら進んでいくと、ある小部屋に辿り着いた。見た感じ色々朽

    Huling Na-update : 2025-05-08
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第79話 ロンメルの頼み

    どうやらまた知識の交換が勝手に行われてしまったらしい。 ロンメルと名乗る人物に自己紹介をされた。姿は見えないわけだが。「俺はアキツグ、でこっちがカサネさんとロシェッテだ」二人には声自体が聞こえないようなので、俺は二人のことも合わせて一応紹介を済ませた。「どうやら見えないけど、精神体の人間?がここにいるみたいだ。話をしたいから悪いけど少し待っててくれるか?」 「精神体?幽霊みたいなものでしょうか?まぁ、私達には何もできなそうですしね。分かりました」 『仕方ないわね』二人の了解を得て、俺はロンメルの声が聞こえるほうに向きなおった。「それで、頼みたいことってなんだ?」 『あぁ、ロンデールの街から浄化の魔法が使える司祭様を連れて来て欲しいんだ。 僕は薬の副作用でここから碌に動くこともできなくてね。仮に街まで行けたところで司祭様に僕の声が聞こえるかは分からないが』 「さっきも言ってたけど、その薬って何なんだ?」 『ある薬屋で手に入れた魔法薬だったんだけどね。ダンジョンでの感覚を鋭くする薬と効いていたんだ。確かにこの状態になって、ダンジョンのことは凡そ把握できるようになった。代償に体から精神が抜けて戻れなくなってしまったけどね。 良く知らない薬を安易に飲んでしまった自業自得ってことだ。我ながらバカだったよ』彼は自嘲するような声でそう答えた。 これ以上聞いても、彼の傷を抉るだけで得られるものはなさそうだ。俺は話題を変えることにした。「浄化って言ってたけど、それであんたは助かるのか?」 『ある意味ではね。僕はもう長いことここに縛られ続けている。日付を数えることも途中でやめてしまったからどれくらいの時が経ったかは覚えていない。精神体だと自分で死ぬこともできない。長い時が経てば精神が摩耗して消えるかもしれないが、そんなのは御免だ。司祭様の力で成仏させてほしいんだ』やはりそういう意味なのか。自分を成仏させて欲しいという彼の願い。それがどんな感情によるものなのか想像もつかない。それにもう肉体に戻ることもできない以上、彼の言う通りにしてあげるのが一番なのだろう。

    Huling Na-update : 2025-05-09
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    目が覚めると一面が真っ白な世界だった。 「なんだここは?俺は何でこんなところに?」 明らかに普通の場所ではない。スモークなどを焚いているのだとしても広すぎる。 目覚める前のことを思い出そうとするが記憶が朧気で思い出せない。 自分の名前、沢渡観世(さわたりあきつぐ)、25歳、職業:商人。 大丈夫。自分のことは覚えている昔の記憶も思い出せる。 分からないのは直近の記憶だけのようだ。「そこの人間」そんな風に自問自答しているとどこからか声が聞こえた。「誰だ?」 「こっちだ」声を頼りに後ろに振り返った途端、そのまま尻もちをついた。 そこには巨大な観音菩薩の仏像が浮いていたのだ。「か、観音菩薩?なんでこんなところに?というかさっきまでなかったよな?どうなってるんだいったい・・・」 「お前を呼んだのは私だ」 「し、しゃべった!?」再度、驚きの声が出る。確かに声は目の前の像から聞こえている。 誰かが揶揄っているのかと周囲を回ってみたが誰も居ない。「納得したか。では、本題に入ろう」 「本題?」 「そうだ。いきなりでは信じられないだろうがお前は死んだ」 「は?俺が死んだって、何の冗談だ?」 「冗談ではない。お前は旅の途中、暴走してきた車に撥ねられて即死だった」車に?そう言われて記憶に引っかかるものがあった。突如坂を乗り越えてこちらに迫ってくる車の映像がフラッシュバックする。「ぐっ!今のは、、まさかあれが死ぬ間際の?」 「思い出したか。では、お前には二つの選択肢がある」 「待て待て、自分が死んだってことすらまだ信じられないのに。突然選択肢とか言われても・・・」 「そうだろうな。好きなだけ悩んで構わない。選択肢は天国へ行くか異世界へ行くかだ」 「異世界?いや、天国はまだ分かる。死んだら行くって言われてるからな。異世界ってなんだ?」唐突に聞こえた不自然な単語に思わず疑問が声に出た。「お前は選ばれた。輪廻の均衡を維持するための例外として。とはいえ元の世界に返すわけには行かない。だから別の世界で生きよということだ」 「輪廻の均衡ってなんだ?」 「詳しくは話せぬが、世には極稀にまだ死ぬべきでない者が早死にすることがある。そのような者達を全て死後の世界へ送ってしまうと輪廻に歪みが生じてしまう。それを防ぐため選ばれた者に生を謳歌させ均衡

    Huling Na-update : 2025-03-01
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第2話 こんなスキルでどうしろと?

    「う、うぅん」目が覚めるとそこは森の中だった。中とはいっても直ぐ側に街道のようなものが見える。森の端のほうなのだろう。 神のような存在との会話はまだ覚えている。恐らく意味も分からずこの世界に降り立ってまた混乱しないようになのだろう。まずは自身の状態を確認する。確かにこの世界の基本的な知識が分かる。 次に持ち物なども確認してみる。 服装はこの世界の旅人の標準的なもののようだ。 持ち物は何やら色々入った背負い鞄を持っている。 どうやら死んだときに持っていたのと同程度の品物があるようだ。 ありがたい。これならうまく売ることさえできれば一先ず生活に困ることはないだろう。あとは、能力か。魔法は残念ながら使えない様だ。 スキルはあるな。良かった、こんな世界で魔法もスキルもなかったら生きていく自信を無くすところだった。 早速スキルの内容を確認してみる。-------------------------------- スキル:わらしべ超者Lv1 自分の持ち物と相手の持ち物を交換してもらうことができる。交換レートはスキルレベルと相手の需要と好感度により変動する。 スキル効果により金銭での取引、交換はできない。--------------------------------・・・・・・は? 信じられない気持ちで見直すが何度見ても結果は変わらない。 金銭での取引はできない?なんだそれ、商人として終わってないか? いや、確かに田舎の村では農作物と薬や消耗品などを物々交換していたこともあるが、基本は金銭での取引だった。 この世界の常識と照らし合わせてみても基本は金銭取引だ。 それになんだ交換レートは好感度により変動するって! いやまぁ、嫌いな人からは買いたくないとか好きな人には奮発するとか分からなくもないけど、これどの程度変わってくるんだ? スキルの詳細を知ろうとしても情報は出てこない。とりあえずどこかの村や町で試してみるしかないか。 何だかいきなり商人としての道に影が差した気がして気落ちするが、まずは生活基盤を何とかしないとそれ以前の問題になってしまう。 手持ちの食糧も心もとないしまずは町か村を見つけないとな。 そう考えてまずは街道に出て周りを見渡してみる。 幸いなことに視界の端の方に村のようなものが見えた。 スキルはともかく

    Huling Na-update : 2025-03-01
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第3話 初めての取引

    金がない。というか金があってもたぶん払えない。 死ぬ前に持っていた向こうの通貨は宝石に変わっていた。 それに宿代の支払いは恐らく商取引に該当するだろう。(・・・どうすんだこれ?宿屋もだが食事や道具の補充などあらゆる支払いができないってことだよな?・・・物々交換?宿代や食事代の支払いを?食事はともかく宿泊は物じゃないよな。家自体を交換して貰うことはできるかもしれないが、今の持ち物じゃ流石に足りないだろう。)考えれば考えるほど今後に不安が募っていくが、現状通貨を得る方法がない以上できることを試してみるしかないか。 そう考えて食堂兼宿屋となっている建物に入る。「いらっしゃい。外のお客さんとは珍しいな」中に入ると主人と思われる男が声を掛けてくる。「あ、あぁ。食事と宿を頼みたいんですが」 「1泊20リム、食事付きなら30リムだ」 「あ~その、支払いなんだがこれでお願いできますか?」そう言いつつ、小粒の宝石を出してみる。「いや、そんな物出されてもな」 「そ、そうですか。俺は商人なんですが、さっき門番の人にこの村では薬が不足気味だと聞きました。そこで、この薬では宿代の代わりにはならないでしょうか?」そういって今度は何種類かの薬を出してみる。「いや、薬が不足気味なのは確かなんだが・・・やはり現金で払ってもらわないと困るな」先ほどの宝石よりかなり興味は引けたようだがやはり結果はダメだった。 物での支払いを拒否しているのか、スキルの影響で拒否されているのか判断が難しいが、間があったことから考えると後者の可能性の方が高そうな気がする。 仕方がないので、別の方法を試してみることにする。「分かりました。。変なことを聞いてすみません。これは詫びとして取っておいてください」そう言って主人の目線から欲していたと思われる薬を渡す。「え?いいのか?いやでも流石に悪いような・・・」 「いえいえ。当てができたらまた来ます」そう言ってそのまま宿屋を後にした。 もちろん意味もなくタダで薬を渡したわけではない。 主人に先に利益を齎すことで好感度を上げておき、相手の好意で1泊泊めて貰えないかと考えたのだ。最悪食堂の隅を借りれるだけでも外で野宿よりはマシだろう。 何だか商売の裏道や抜け道を探しているようで多少の罪悪感があるが身の安全には代えられない。 まぁ、こ

    Huling Na-update : 2025-03-01
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第4話 商人との交渉

    「ん?さっきの商人さんじゃないか。商売は上手く言ったかい?」泊まるだけの稼ぎがあったかと聞きたいのだろう。 生憎商売ができても金銭は手に入らないのだが。「そのことなんですが、やはり薬での支払いはできませんか?」 「あ、いやさっきは悪かったな。もちろん構わないよ。貰った薬の効き目も良かったしな。とりあえずそれで1泊分にしておくよ。追加はどうする?と言ってもこの村に長居するほど見るものもないと思うけどな」宿屋の主人はあっさりと前言を撤回した。その上先に渡した薬も代金に含めてくれるという。やはりスキルの影響があったということだろう。 何にしろこれで野宿は避けられそうだ。「そうですね。道具屋と雑貨屋は今日回ったし、次はロンデールに行ってみようかと思っているのですが」 「ロンデールか。まぁ、ここから次に向かうならそこか南のハイン村のどっちかだろうな」南にも村があるのかそっちの情報も聞いておきたいな。「とりあえず1泊で。あと良ければロンデールやハイン村のことについて教えて貰えませんか?」 「あぁ、良いぜ。ロンデールはこの辺だと大きめの町だな。近くにダンジョンの入り口があるから冒険者が結構多い。ダンジョン産のアイテムも出回るから商人ギルドもあるし商店も多いな。」ダンジョン。魔物が巣食う洞窟や遺跡のことだったか。現実味がないがやはりそういうものがあるんだな。なるべく近寄りたくないが。 商人ギルドには早めに行ってできるなら加入しておきたいな。知識によるとギルドカードは身分証にもなるようだし、横の繋がりを得られるのも重要だ。あとギルド発行の仕事を受けられたりもするんだっけ。・・・あれ?報酬って当然現金だよな?俺の場合どうなるんだろう? まぁ、そこも試してみれば分かるか。「ハイン村は大きな牧場があるのが特徴でな。ホワイトブルやフラワーシープなんかの牧畜をやってる。小さいが冒険者ギルドもあるぞ」ホワイトブルは草食で大きめの体をしている。肉は部位ごとに触感や味が異なりどれも美味しいらしい。 メスのホワイトカウの方はミルクが取れてそちらも美味しいらしい。 フラワーシープは花のように様々な色の体毛を持つ動物で貴族のドレスなどの材料として重宝されているらしい。 肉やミルクは日持ちが厳しそうだが毛糸なら取引に使えそうだな。「ハイン村には商人ギルドはないんです

    Huling Na-update : 2025-03-01

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  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第79話 ロンメルの頼み

    どうやらまた知識の交換が勝手に行われてしまったらしい。 ロンメルと名乗る人物に自己紹介をされた。姿は見えないわけだが。「俺はアキツグ、でこっちがカサネさんとロシェッテだ」二人には声自体が聞こえないようなので、俺は二人のことも合わせて一応紹介を済ませた。「どうやら見えないけど、精神体の人間?がここにいるみたいだ。話をしたいから悪いけど少し待っててくれるか?」 「精神体?幽霊みたいなものでしょうか?まぁ、私達には何もできなそうですしね。分かりました」 『仕方ないわね』二人の了解を得て、俺はロンメルの声が聞こえるほうに向きなおった。「それで、頼みたいことってなんだ?」 『あぁ、ロンデールの街から浄化の魔法が使える司祭様を連れて来て欲しいんだ。 僕は薬の副作用でここから碌に動くこともできなくてね。仮に街まで行けたところで司祭様に僕の声が聞こえるかは分からないが』 「さっきも言ってたけど、その薬って何なんだ?」 『ある薬屋で手に入れた魔法薬だったんだけどね。ダンジョンでの感覚を鋭くする薬と効いていたんだ。確かにこの状態になって、ダンジョンのことは凡そ把握できるようになった。代償に体から精神が抜けて戻れなくなってしまったけどね。 良く知らない薬を安易に飲んでしまった自業自得ってことだ。我ながらバカだったよ』彼は自嘲するような声でそう答えた。 これ以上聞いても、彼の傷を抉るだけで得られるものはなさそうだ。俺は話題を変えることにした。「浄化って言ってたけど、それであんたは助かるのか?」 『ある意味ではね。僕はもう長いことここに縛られ続けている。日付を数えることも途中でやめてしまったからどれくらいの時が経ったかは覚えていない。精神体だと自分で死ぬこともできない。長い時が経てば精神が摩耗して消えるかもしれないが、そんなのは御免だ。司祭様の力で成仏させてほしいんだ』やはりそういう意味なのか。自分を成仏させて欲しいという彼の願い。それがどんな感情によるものなのか想像もつかない。それにもう肉体に戻ることもできない以上、彼の言う通りにしてあげるのが一番なのだろう。

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  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第74話 結果報告とシディルの弱点

    マグザの冒険者ギルドまで戻ってきた俺達はギルドに調査結果を報告した。「あの森にダンジョンの入り口が!?」報告を聞いたギルドの受付嬢が驚きの声を上げる。「奥まで調べてはいませんが、恐らく間違いないと思います。入り口の近くに石碑のようなものが崩れた後がありました。予想でしかありませんが、それがダンジョンの存在を隠していたのではないかと」 「・・・そうですか。もしその話が真実であるならば、最近の魔物増加の件にも何らかの関係がありそうですね。分かりました。改めてその壇上の調査チームを編成しましょう。宜しければお二人にもご参加頂きたいのですが、どうでしょうか?」やはりそういう話になるか。流石に今回は俺には荷が重いだろう。森と違ってダンジョンは魔物達の巣窟だ。その上狭いから逃げ隠れも難しい。パーティを組んでるのに姿隠のマントを使う訳にもいかないしな。 カサネさんの方を見ると、彼女も首を振った。「すみませんが、ダンジョン調査の参加は辞退します」 「分かりました。貴重なご報告ありがとうございました。ダンジョンについては騒ぎになる可能性がありますので、ギルドが公表するまではご内密にお願いします。 あともうひとつ、ダンジョンの発見者にはダンジョンの名称を決める権利がありますがどうされますか?もしその気がなければ、その権利を街側で買い取ることもできますよ」俺がカサネさんの方を見ると彼女はふるふると首を振った。 俺も自分にネーミングセンスがあるなんて思ってないし、変な名前を付けてそれがずっと呼ばれ続けるなんて考えたくもない。答えは一択だった。「買取でお願いします」 「承知しました。それでは調査の件と合わせて報酬を用意いたしますので、少々お待ちください」そういうとギルド職員は部屋を出て行った。「俺はともかくカサネさんの実力ならチームに参加しても問題なかったと思うんだけど、良かったのか?」 「はい。自分の身を守れる自信はありますが、急造チームで未知のダンジョンに挑むのはリスクが高そうですから」言われてみれば確かにその通りだ。ギルドもチーム編成に苦労

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第73話 意外な発見

    シャドウウルスたちが争った際に崩れたのだろうか? 気になって近寄ってみると石が崩れ落ちた辺りの地面に何かが埋まったような跡があった。「そこがどうかしましたか?・・・こんなところに石造りの・・・慰霊碑とかでしょうか?」カサネさんは石でできた何かがの元の姿が気になっているようだ。確かにこんな森の奥に明らかに人の手で作られた何かがあれば気にはなる。「そっちも気にはなったんだけど、この辺、石が崩れたせいで何かが埋まったような跡があるんだ。・・・ディグ」俺は地面掘りの呪文を唱えてそのあたりの土を掘り返した。すると予想通り少し掘り進んだあたりで土が無くなり、そこにはぽっかりと口を開けた暗闇があった。「こんなところに・・・洞窟、でしょうか?」 「っぽいな。でもかなり奥まで続いているようだ。先が見えない。ライト」光の呪文を使って穴の奥を照らしてみたが、それでもやはり行き止まりが見えない。何故かは分からないが嫌な予感が脳裏によぎった。「確認しないわけにはいかない・・・よな。でもなんか嫌な予感がするんだ。慎重に行こう」 「分かりました」二人で音をたてないように慎重に進んでいくと、やがて前方がぼんやりと明るくなり始め、何かの物音が聞こえてきた。「何だ?この先に誰かいるのか?」 「アキツグさん、静かに。光も消してください」俺が進もうとしたところでカサネさんに止められた。何かに気づいたらしい。 言われた通り光を消して、さらに慎重に進むとそこには少し広めの空間があり、そこには魔物達が屯していた。 何でこんなところに魔物達が?と疑問を浮かべる俺の背中をカサネさんが引っ張った。 見ると後ろを指さしている。戻ろうということか。 素直に従って、穴の外まで戻ってきた。「驚いたな、何であんなところに魔物達が居たんだ?」 「アキツグさん、ダンジョンに入ったことはありますか?」 「いや、ないけど・・・えっ?まさか?」 「はい。十中八九、これはダンジョンの入り口です。あの部屋の先にも道が続いていたようですし、形状も以前私が潜

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第72話 森の奥地の再調査依頼

    呼び出しに従って冒険者ギルドへ向かうと早速応接室に通された。「良くいらして下さいました。私はここのギルド長をしているラーケスと申します。本日お呼びしたのは前回お二人が倒したシャドウウルスに関する件でして、率直に言えば、森の奥地の再調査にお二人も参加をお願いしたいのです」 「なぜわざわざ俺達に?やっぱりあのシャドウウルスを倒したからですか?」 「もちろんそれもあります。ただ一番の理由はお恥ずかしながら人手不足なのです。ちょうど学園祭が終わったところで、商人や旅行客の護衛に人手が割かれているところでして。そちらは少しすれば戻るとは思うのですが、今は少しでも早く調査が必要だと考えているのです」ある程度予想はしていたが、やはり再調査の話だったか。 あのシャドウウルスみたいな魔物が他にも居るのであれば、正直今の俺には荷が重い。あの戦闘でもほとんど役に立たなかったしなぁ。「あくまで協力要請なので無理強いは致しませんが、他にも数名の冒険者には既に受注して頂いているので、前回よりリスクは下がると考えています」俺の表情を読んだのだろう、ラーケスさんはそう補足を入れた。 まぁ本命はカサネさんの協力を得たくて、俺はおまけなんだろうな。「アキツグさん、どうします?」カサネさんも会話の意図を理解したのだろう、俺に判断を委ねてきた。 確かにリスクはあるが今回はあくまで調査だ。他の冒険者も居るみたいだし、いざとなれば協力なり撤退なりすればいいだろう。「何かあった時の撤退の判断はこちらでしていいんですよね?」 「もちろんです。むしろ危険だと判断したら直ぐに退いて下さい。下手に危険な魔物を刺激して森から出てきてしまうと街にまで危険が及ぶ可能性もありますから」 「分かりました。それなら引き受けましょう。カサネさんも良いよな?」 「はい。アキツグさんがそう判断されたのであれば私は構いません」 「ありがとうございます。それでは早速受注処理に入らせて頂きます」その後、俺達は条件や報酬などについて確認した後、クエストを受注してまたあの森に戻ってきた。心なしか前回より森が静かな気がする。恐ら

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第71話 シディル邸にて

    ギルドへの報告を終えて、シディルさんの屋敷へと戻ってくると1階には誰の姿もなかった。クレアさんはまだ学園なのだろう。シディルさんとロシェはまだ地下の研究室にいるようだ。「二人はまだ地下にいるみたいだ。疲れたしちょっと休憩にしようか」 「そうしましょう。私、お茶を入れてきますね」そう言ってカサネさんがキッチンの方に入っていったあと、入れ替わりで地下室からロシェが出てきた。『おかえりなさい。どうやら無事みたいね。なんだかあなたの気配が陰った気がして少し心配だったのよ。距離が離れていたせいではっきりとは分からなかったのだけれど。カサネはキッチンかしら?』俺が戻ってきたのに気づいて上がってきてくれたらしい。「あぁ、ただいま。ちょっと予想外の魔物に出くわしてしまってな。何とか倒せたけど大変だったよ。カサネさんはお茶を入れに行ってる」 「あ、ロシェさん。ただいま戻りました。ロシェさんの分もお茶入れますね」 『ありがとう。あなたは変わりなさそうね』 「あ、アキツグさんから聞いたんですか?そんなことないですよぉ。すごく大変だったんですから」改めて考えると魔法を使っていたとはいえ、カサネさんはあいつの猛攻をずっと一人で捌き続けていたのだ。流石Bランク、とんでもない実力者だよな。『あら、あなたがそんな愚痴を零すなんて本当に苦労したみたいね。アキツグ、あなたは戦いに慣れてないんだからあまり無茶はしないようにね』 「うぐっ。わ、分かってるよ。とはいえ守られるばかりっていうのもカッコ悪いからな。俺も少しは強くならないと」 『へぇ。珍しいわね、あなたがそんなこと言うの。でも、良いんじゃない?無理しない程度に頑張りなさい』 「あぁ。自分の力の無さは今日痛感したからな。無茶はしないさ」そんなことを話していると、地下室からシディルさんも戻ってきた。「おぉ、お主ら戻っておったのか。急にその子が上に戻りたがる様子を見せたから扉を開けてやったのじゃが、何かあったのかの?」 「えぇ。まぁ。魔道具のテストも兼ねて近くの森まで魔物討伐のクエストに行ってきたんですが、そこでシャドウウルス

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